EQ(Emotional Intelligence Quotient)

はじめに

ゆめみではリモートワークにおいて、毎日のコミュニケーションでslackやZoom等のツールを介してコミュニケーションが行われており、対面でのコミュニケーションよりも相手の感情や状態を感じ取る力(これを「センシング能力」と言います)が一層求められます。
また、チームや顧客との信頼関係を築くには、自らの表現や行動が周囲の感情にどのような影響をもたらすかも理解して表現内容を調整していく必要があり、センシング能力に加えて、対人スキルを学び、応用していく力を身に着けることが、他者とより円滑かつ効果的に仕事を進めていく上で非常に重要であると考えています。
EQの開発プロセスを体験することは、自らが相手に対してどう振舞うかを考え、適切に調整するトレーニングでもあり、対人関係を良好な状態に保つための能力開発として重要であると位置づけています。
一方で、自分の感情を認知し管理調整することは、身体の状態を管理調整することと密接な関係にあり、心身の健康を維持し、本来自分が持っているポテンシャルを発揮し、パフォーマンスを高いレベルで維持するために、大きく役立ちます。

EQとは何か

EQとは、一言で言うなら「感情を知的に活用する能力」で、言い換えると「自分の感情や、周囲の人の感情をマネージメントし、自分自身や他者との関係性をより良くしていく能力」のことです。
EQは、1990年に心理学者のピーター・サロベイ博士とジョン・メイヤー博士によって発表された理論で、後に米国心理学ジャーナリスト、ダニエル・ゴールマンの著著「Emotional Intelligence」によって広く知られるところとなりました。以降、欧米を中心に、Johnson & Johnson、Googleなど企業や、ハーバード、イエール、スタンフォード、MITなど大学で研究が進められ、近年では脳神経科学において基礎研究が進められるなど、学術や科学研究に裏づけられた理論であり、誰でも理解し、活用し、開発できる能力として注目が集まっています。
EQは、正確には「 Emotional(情動・感情) Intelligence(知能) Quotient(指数)」 であり、Emotional(情動・感情)なIQと表現することもでき「感情を知的に活用する能力」を言い表しています。学術的にはEIと呼ばれていますが、ジャーナリストが「もはやIQの時代は終わった、これからはEQの時代である」といった IQ vs EQ の分かりやすい対峙の構図として用いたため、EQという呼び方がポピュラーになっています。
また、Quotient(指数)であるので、測定が可能です。詳しくは後述しますが、ゆめみでもグローバル基準のEQ診断を取り扱っており、誰でも受検できます。

EQとリーダーシップ

20年以上前にダニエル・ゴールマンは、ハーバード・ビジネス・レビュー*1 で次のように書いています。
大変優れたリーダーには、ある決定的な点で似ているところがあるとわかった。すなわち彼らは、そろって「こころの知能指数」(Emotional Intelligence = EQ)と呼ばれる能力が非常に高いのである。
たとえEQを持ち合わせていなくても、最高水準の教育を受け、鋭敏で分析力のある頭脳を持ち、気のきいたアイデアを次々と出すことはできる。しかしそれだけでは偉大なリーダーにはなれないのだ。
以来、20年以上が経過し、この主張を裏付ける研究結果が増えています。シックスセカンズによる「The Business Case for Emotional Intelligence」*2 で報告されている内容を紹介しましょう。
EQのスコアが高いリーダーは、高いリーダーシップの成果をもたらす可能性が7倍高い。EQ が高いリーダーは、より良い意思決定を下し、より効果的に関与して影響を与え、仕事に適切な雰囲気を作り出す可能性が高くなる。
世界中の何十もの業界に渡り、Google、Johnson & Johnson、FedExなどの主要ブランドにおける研究により、EQとリーダーシップのパフォーマンスの間に強い関連性があることが判明している。
神経生物学的レベルでは、権力や権威のある立場にある人は、その他の人よりも容易に感情を伝播させる。この責任を認識し、感情をうまくコントロールする能力を備えているEQに熟練したリーダーは、より前向きな組織風土を作り出し、よりポジティブなメンタルヘルスの文化を育み、高い活力の状態を維持しようとする。
リーダーは、チームや組織の雰囲気を左右します。リーダーにEQが求められるのはこのためです。

EQと成功

ゆめみが人材育成を行う背景には、無論、ビジネスの側面で事業成長や経営目標を達成するための手段として研修や教育を捉えている、というのもありますが、加えて自らのパーパスや成長そのものを大切にして欲しいという想いがあります。
自らのパーパスに沿った生き方が出来ている、叶っている状態を「人生の成功」だとした場合に、成功に導く要素(これを「サクセスファクター(成功要因)」と呼びます)があることをシックスセカンズは特定しました。それが次の4つです。
達成意欲(結果を出すために物事を粘り強くやり遂げようとする能力)
対人関係の意識(良好で強固な人間関係を構築する能力)
ウェルビーイング(エネルギーや能力を高いレベルで保つ能力)
クオリティオブライフ(より良く生きることで、真の幸福を創造する能力)
この4つのサクセスファクターとEQには強い相関関係があり、自らのEQを高めるとサクセスファクターの向上に繋がることが分かっています。
EQを開発することは、パーパスや成長によりポジティブに関わり自らの「人生の成功」に向けて歩みを進めること、と言っても過言ではないのではないでしょうか。誰かのためでなく自らのために学び、開発を進めましょう。
ゆめみがEQの開発を能力開発として重要な位置づけとしている理由もここにあります。

EQを開発するには

IQとは異なり、EQはトレーニングすることで誰でも開発可能な能力です。これはゆめみの人材育成・研修・教育方針の前提となっているマインドセット「人は誰でも、いつからでも成長できる」にも沿うものです。
では、どうしたらEQのレベルを高められるのでしょうか。ここでは、ゆめみが研修で採用している シックスセカンズ のEQモデルを紹介します。
このEQモデルでは、「知る(Know Yourself)」「選ぶ(Choose Yourself)」「活かす(Give Yourself)」の3つの領域の探求を実践することで、EQが働くようになるとしています。
探求領域
説明
知る(Know Yourself) 自己認識の領域です。
「知る(Know Yourself)」とは、意識を高めること、つまり自分が何を感じ自分が何をしているか、しようとしているのかにはっきりと気づく、ということです。 この能力は、感情からもたらされる情報をより正確にキャッチすること可能にします。
選ぶ(Choose Yourself) 自己管理の領域です。
「選ぶ(Choose Yourself)」とは、より意図的になること、つまり自分やりたいことをより意識的に実行する、ということです。 この能力は、物事に対して「自動操縦」的に反応するのではなく、より意図的/意識的に対応することを可能にします。
活かす(Give Yourself) 自己の方向付けの領域です。
「活かす(Give Yourself)」とは、自分の深い目的意識とつながること、つまり理由に基づいて物事を行う、ということです。 この能力は、自分のビジョンと使命を行動に反映するのを助け、より目的意識をもって自らに誠実なリーダーシップを発揮することを可能にします。
EQの開発は簡単ではありません。時間とコミットメントが必要です。まずは3つの探求領域のそれぞれについて自己対話を習慣づけましょう。
知る:「今、自分はどんな気持ちなのか、それはなぜか?」
選ぶ:「今、自分にどの様な選択肢があるだろうか、選択肢は1つだけか、他にないか?」
活かす:「今、自分はどうしたいのか、どうありたいのか?」
何かを選択しなければならないという局面において、この3つの自己対話を粘り強く行うことで、EQの能力が鍛えられ、最適な行動が選択できるようになります。

EQレベルを知る

EQの開発をスタートするために、EQアセスメントを受検して現在の自分のレベルを知ることから始めましょう。
定期的に検査を受けてEQ開発レベルを確認することもセルフメンテナンスとして有効な手段の一つです。
ゆめみにはシックスセカンズの認定資格者が在籍しているため、次のEQアセスメントを受検することが可能です。
SEIは、Consortium for Research on Emotional Intelligence in Organizations (CREIO)の「研究に基づく感情知能測定ツール」として選出されています。

引用・参考文献

*1 ダニエル・ゴールマン(森尚子訳)(2000)「EQが高業績リーダーをつくる」『DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー』 2000年9月号
*2 Freedman, J., Miller, M., & Freedman,P.(2023)「The Business Case for Emotional Intelligence」 Six Seconds